2015年6月26日金曜日

脳卒中患者の予後予測

今回は脳卒中片麻痺患者の予後予測についてまとめたいと思う。

予後予測の研究は数多くあるが、今回は歩行獲得に関して私が参考にしているものを紹介したいと思う。

●先行研究●
初診時座位バランス機能が良好であれば約3週間、座位保持可能であれば6週間で歩行可能となり、座位不能でも3週間以内に可能となれば2カ月で歩行レベルで自宅復帰となる(中島 1999)

発症4週までに座位が自立した症例の93.5%は歩行自立となる。また、6週以降に座位が自立した群より歩行用介助者が多くなり、7週以降より歩行自立例がなくなった(藤本 1995)

どちらも座位保持能力の評価による歩行の予後予測で、3~4週以内に座位保持が獲得できれば歩行自立となるといえる。
つまり、急性期入院中に座位保持が獲得できるか否かが、その後の歩行獲得を左右するということである。

その他にも基本動作の評価にて歩行獲得までの期間を予測したのもなどもある。


いずれにしても座位保持や立位保持の評価は、体幹機能を含んだ姿勢筋緊張の評価であり、急性期においては姿勢筋緊張のコントロールを高めることが重要であるということであろう。

以上、予後予測についてのまとめを行った。

私は今回紹介させていただだいたデータを予後予測のためというよりは、歩行獲得のために急性期リハで最低限獲得しておかなければならない能力として把握しており、最低限の目標設定として利用している。

また、今回紹介させていただいたものは、脳の損傷部位や発症直後の能力ではなく、ある程度のリハビリ期間を経て獲得した能力が歩行獲得できるか否かを左右するというものである。これは、私たち理学療法士が適切にアプローチを行い機能を高めることで、患者の機能予後を変えることができるということであり、私たちの存在意義を示すためには重要なことであると思う。

患者に真摯に向き合り、機能向上に努めることが大切であると思う。

書籍の紹介
脳卒中片麻痺患者に対する理学療法

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