2015年7月3日金曜日

脳卒中急性期リハは早期の立位・歩行訓練だけではない

今回は脳卒中急性期のリハビリについてまとめたいと思う。

脳卒中ガイドラインでは座位.・立位、装具を用いた歩行訓練をできるだけ早期から積極的に行うことが推奨されている。
また、早期に歩行が自立しない限り、廃用性萎縮は入院2週間目には明らかで、その回復のには歩行訓練開始までの期間の3倍以上を要すると言われており(近藤ら 1997)、立位.・歩行訓練は特に廃用予防の為には重要である。

しかし、急性期脳卒中患者には、症状の増悪や合併症、血圧コントロール不良などにて積極的な離床が行えない場合もしばしば経験する。

そういった場合、積極的な離床ができないからといってベッド上安静にしたり、ROM訓練のみしか実施しないという状況であれば、患者の回復を妨げてしまう。

それではどのようなアプローチを行えば良いだろうか?

前回のブログでも示したが(前回のブログはこちら)、将来的な歩行獲得の為には急性期のうちに安定した座位保持ができる程度の体幹機能を獲得しておく必要がある。

そのため、積極的な離床が行えなくても体幹機能向上へ向けたアプローチを行う事が重要である。

●体幹機能向上に向けたアプローチ●
発症早期の脳卒中患者を対象に臥位や座位にて体幹機能向上に向けたアプローチを行った群とそうでない群とを比較した研究がある。
アプローチ群では、臥位にて寝返りやブリッジなどの運動座位にて骨盤の選択的な運動やリーチ動作などの座位バランス練習を実施した。コントロール群では他動的な関節可動域訓練や電気刺激を実施したどちらの群も1回30分間のアプローチを週4回実施し8週間継続した。
介入の結果、アプローチ群はコントロール群に比べ、有意に体幹機能の向上を認め、立位バランスや歩行能力の改善を認めた。
(Saeys W et al.:Randomized controlled trial of truncal exercises early after stroke to improve balance and mobility.Neurorehabil Neural Repair,2012,26(3):231-238 )

つまり、立位や歩行訓練が困難な状態でも、臥位や座位にて体幹機能向上に向けたアプローチを実施することで将来的な立位バランスや歩行獲得へ向けたアプローチが可能であるという事である。

また、歩行を優先的に実施した群と起居・移乗などの基本動作を優先的に実施した群を比較したところ両者ともに運動機能、移乗・移動能力、ADLが向上し、プログラムの差異による違いは認めなかった(平野ら)という報告もあり、必ずしも立位・歩行訓練を積極的に実施しなくても、基本動作に積極的に関わることで将来的な歩行・ADL向上につながると思われる。


本日はここまで。

続きはまた次回。。。

書籍の紹介
脳卒中片麻痺患者に対する理学療法

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