2015年3月12日木曜日

痙縮(ウェルニッケマン肢位のメカニズム)

痙縮の定義は、様々な方が打ち出しているが、Lanceの定義が一般的であろう。
●Lanceの定義●
上位運動ニューロン兆候の1つであり、他動的ストレッチに対して反射亢進と速度依存性の抵抗を特徴とする運動障害のこと

この定義からすると、反射亢進の影響により他動的ストレッチに対して筋緊張が高まるということであろう。
しかし、脳卒中片麻痺患者などにおいては動作開始時や情動や感情が高揚するときにも痙縮が高まることがある。しかも、単一の筋ではなく上下肢の緊張が同時に高まり、ウェルニッケマン肢位のような姿勢をとる。

今回はこのメカニズムについてまとめていきたいと思う。

●反射亢進のメカニズム●
まずは反射亢進のメカニズムから。
脊髄反射が起こす運動は、状況に応じて上位中枢より適切に調整されている。
例えば、皮膚刺激に対するα運動ニューロンの反応を自動運動時・他動運動時・運動なしの条件で記録をとると、自動運動時のみα運動ニューロンの活動が優位に抑制されており、その抑制は400ms前から始まっていたという研究結果がある。この結果は上位中枢より反射がコントロールされているという事を示しており、このコントロールは、感覚野からの下降路によるシナプス前抑制によって行われている。
脳卒中になるとこのシナプス前抑制が行えなくなるため、感覚のコントロールがうなく行えず反射亢進が起こるとされている。

 
 
●姿勢コントロールと痙縮●
上記メカニズムによって反射は亢進するが、それだけでは痙縮は発生しない。例えば、4野の破壊や延髄錐体の切断だけでは、痙縮は起こらないが6野や内側運動制御系の追加切除にて痙縮が発生したという研究結果がある。
つまり、外側運動制御系の障害に加えて姿勢制御などを行う内側運動制御系のコントロールが難しくなる状況になると痙縮が発生するということであろう。
そのため、脳幹網様体の活動が高まる動き始めや情動や感情が高揚した時にウェルニッケマン肢位になると考えられる。
 


 


 以上ウェルニッケマン肢位発現のメカニズムについてまとめてみた。ウェルニッケマン肢位の発現には姿勢コントロールが密接に関与している。非麻痺側による代償活動が多大であると痙縮を強めてしまうため、セラピストは両側での姿勢コントロールができるようアプローチし、より効率的に動けるように関わることが大切であろう。
 
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