2015年3月26日木曜日

ボバースコンセプト(姿勢コントロール)

今回は姿勢制御のメカニズムについてまとめていきたいと思う。

すべての運動には姿勢が随伴しているため、運動をスムーズに遂行するためには姿勢を適切にコントロールすることが大切で、その理解は重要である。

●姿勢筋緊張●
姿勢筋緊張は、様々な姿勢・動作を維持・継続するために必要は緊張力のことであり、筋肉によって発揮される関節モーメントが重力によって生じる関節モーメントに打ち勝てるかどうかで評価できると記されている。(脳卒中障害・病態とその理学療法アプローチ 文光堂)
我々は、重力下で生活しているため重力に打ち勝って体を支え、コントロールしていかなければならない。そのため、姿勢筋緊張は重力に打ち勝って重心を高く保つ能力、つまり、抗重力伸展位を保つことができる能力と表現できる。
重心を高く保つためには、脊柱起立筋などの伸筋群の働きに加えて、拮抗筋である腹筋群などの働きが必要である。
そのため、姿勢筋緊張を適切にコントロールするためには主動作筋と拮抗筋が適切にバランスを取りながらコントロールされている必要がある。
また、バランス戦略は足関節戦略、股関節戦略、ステッピング戦略の3つがあるが、重心を高く保ちながら姿勢をコントロールするためには足関節戦略で姿勢をコントロールすることが大切である。
さらに、我々は、手を前に出して使ったり、前に進むために足を前に振り出すなど、多くの場合、四肢は体幹よりも前方で利用する。そのため、体は常に前方への外乱が加わる状態となっており、後方へ重心を戻す能力が必要で、これが動作に先行して行われるとより効率的に動くことができると考えられる。
効率的な姿勢制御=①重心を高い位置でコントロールができる(足関節戦略でのコントロール)動作に先行して重心を後方に移動できる。

 

●姿勢制御に関わる神経システム●
姿勢・運動制御を行っている神経系は大きく2つに分類される。1つ目は主に姿勢筋緊張の調整に関わる内側運動制御系で、もう1つは随意収縮に関わる外側運動制御系である。外側運動制御系は、反対側を下行し反対側を支配するが、内側運動制御系は同側を下行し両側を支配する。そのため、片麻痺という状態であっても姿勢筋緊張のコントロールは行うことができると考えることができる。
 
また、姿勢制御に関わる神経システムはFeedforward系とFeedback系があり、Feedforward系は動作に先行して支持側にCOPを移し安定化を図る皮質橋網様体脊髄路と支持側の安定化が図られたことを条件に運動肢のコントロールを行う皮質延髄網様体脊髄路がある。Feedback系は重心の変化が大きい時(床反力が多くなる動作)に伸展活動を高める前庭脊髄路がある。
 
 
重心の変化を感じ取る器官は、内耳にある耳石や半規管もあるが姿勢の変化などを感じ取るには固有感覚情報が重要である。この固有感覚情報は主に背側の脊髄小脳路を介して小脳へ伝えられており、この情報は肢軸の向きや肢にかかる負担などを表現している。


これらの神経システムが適切なタイミングで働くからこそ我々は適切に姿勢をコントロールすることができる。

 本日はここまで。続きはまた次回。。
 
書籍の紹介
脳卒中片麻痺患者に対する理学療法
 
 


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