2016年1月11日月曜日

ボバースの文献①:ボバースコンセプトに基づく介入は、課題訓練単独で行う介入と比較し脳卒中患者の歩行能力改善に影響を与えるか?

本日は、ボバースコンセプトに関する文献を紹介したいと思う。

ボバースコンセプトに関しては、日本では否定的に論じられることが多く、治療効果に関するエビデンスはないという事が一般的のように思う。

しかし、海外の論文を見ると結果は様々で、良い効果を示しているものやそうでないものもある(だからエビデンスがないという事になっていると思うが・・・)。

今回、最近読んだボバースコンセプトの文献の1つを紹介する。

脳卒中のリハビリテーションにおいては、反復した課題訓練が推奨されている。現在のボバースコンセプトは、課題に直結した動きと基本となる姿勢コントロールの両方の改善に対して直接的に治療する神経リハビリテーションアプローチであるとされている。そのため、ボバースコンセプトにおいても課題訓練は治療の主要な構成要素である。
今回紹介する文献では、ボバースコンセプトに基づく介入が、課題訓練単独で行う介入と比較し効果があるかどうかを示したものである。
 


ボバースコンセプトに基づく介入は、課題訓練単独で行う介入と比較し脳卒中患者の歩行能力改善に影響を与えるか?

 この研究の動作課題は「歩行」である。歩行の改善は、室内環境を歩けるようになるだけでなく、屋外などの様々な環境下で歩けるようになることも必要である。
 この研究の目的は、屋内歩行レベルから屋外歩行レベルへ移行するための最適なアプローチを決定することであり、ボバースコンセプトに基づく介入が、課題訓練単独で行う介入よりも効果があるかどうかを検証することである。
 
方法
 この研究は、盲検化した評価を行う前向きな多施設間の無作為比較試験である。この研究の対象は、発症4~29週までの脳卒中(脳出血と脳梗塞)患者で、監視または介助下にて15m屋内歩行が可能なものとした。発症4週以内に歩行が自立した軽症患者や発症前に屋外歩行が困難であったもの、指示理解が困難なもの、脳卒中以外の運動器疾患を有するものは除外した。なお、これらの対象者は、2つのリハビリテーション施設から集められ、コンピューターによってランダム割付けが行われた。その結果、ボバースコンセプトに基づく介入を行う群12名と課題訓練単独で介入を行う群14名に割り振られた。介入した理学療法士は、経験年数が5年以上もしくは神経科学およびリハビリテーションの大学院を2年以上経験したものであった。加えて、ボバースコンセプトに基づく介入はボバース基礎講習会と2つ以上の上級者講習会を終了したものが行った。
 ボバースコンセプトに基づく介入は、歩行改善に向けたクリニカルリーズニングを行い、問題となる構成要素に対する治療を患者個人に合わせて実施した。
 
介入例は以下の通りである。
・背臥位、立位、片脚立位などの様々な姿勢のコントロールと選択的な運動の促通
・足部・下腿の活性化を図り、足関節戦略の促通を図ることを通して、足部と床との関係の改善を図り、バランスを強化すること
・課題中のコアスタビリティーを促通すること
・様々な姿勢の変化を通して、ローテーションを促通し、正中位指向の改善を図ること
 
 これらの介入と合わせて、坂道歩行や段差昇降、不整地歩行などを含んだ応用歩行に関わる課題訓練を実施した。
 課題訓練のみを行う群は、応用歩行訓練を課題特異的に反復して実施した。介入の際に、言語指示やジェスチャーなどによるフィードバックを行ったが、Hands onによる動作誘導は行わなかった。
  測定項目は、傾斜や段差、不整地を想定したマットなどを設置した環境下での6分間歩行距離と平地の歩行速度、Berg Balance Scale(以下BBS)とした。評価測定は、対象者がどちらの群に属しているかを知らない理学療法士により実施され、介入前と全介入が終了した2週間後に行われた。
 
結果
 介入前の6分間歩行距離と歩行速度、BBSにおいて両群間に差を認めなかった。介入終了後、すべての項目において両群共に有意な改善を示した。ボバースコンセプトに基づく介入と課題訓練単独の介入の比較では、歩行速度においてボバースコンセプトに基づく介入を行った群が、課題訓練単独で介入した群と比較して有意な改善を示した(ボバース:26.2±17.2m/min 対 課題訓練単独:9.9±12.9m/min P<0.01)。6分間歩行距離に関しては有意差を認めなかったが、ボバースコンセプトに基づく介入を行った群が課題訓練単独で介入を行った群と比較し改善傾向を示した(ボバース:89.9±73.1m 対 課題訓練単独:41.0±17.2m P=0.07)。BBSは両群に有意差を認めなかった(P=0.2)
 
まとめ
 歩行が監視~介助レベルの脳卒中患者において、ボバースコンセプトに基づく介入は課題訓練単独で行う介入と比較し、歩行速度の改善に対して有効であることが示された。また、応用歩行距離は、有意差を認めていないものの改善傾向を示した。統計的な有意差を示すためには64人以上の対象が必要であり、屋内歩行レベルから屋外歩行レベルへ移行するための最適なアプローチを決定するという目的を達成するためには、症例数を増やし大規模な臨床試験を行う必要がある。

参考文献
Brock K, Haase G, Rothacher G, Cotton S:Does physiotherapy based on the Bobath concept, in conjunction with a task practice, achieve greater improvement in walking ability in people with stroke compared to physiotherapy focused on structured task practice alone?: a pilot randomized controlled trial.Clin Rehabil. 2011 Oct;25(10):903-12.


以上、ボバースコンセプトに基づく介入と課題訓練単独で行う介入を比較した論文を紹介した。


ボバースコンセプトに基づく介入は、見守り~軽介助で歩行が可能な脳卒中患者に対して、歩行能力の改善に有効な介入方法であることが示された論文であると思う。


本日はここまで。

続きはまた次回。。。

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