2015年7月23日木曜日

理学療法はサイエンス?それともアート??

先日、休暇をいただき沖縄の石垣島に訪れていた。

石垣島の海を堪能するため、私たちはシュノーケリングのツアーに参加した。
参加した日は台風の影響が少なからずあり、波が高く流れが速い場所があったり、突然雨が降ったりすることもあった。

しかし、ツアーのガイドさん達は天候などを瞬時に判断し、安全にきれいな海を楽しめるポイントを判断しながら私たちを案内してくれた。
あんなに広大な海の中で、安全でしかもきれいなポイントを探し当てることができる彼らの経験・能力はすばらしいものであった。

天候は今一つなところもあったが、私たち参加者は大満足で最高の1日を過ごすことができた。

そんな経験をした帰路の途中、私たち理学療法士はどうなのかふと考えた。


●理学療法はサイエンスであり、アートである●
理学療法はサイエンスであり、アートであると表現されることがある。
サイエンスの部分は、近年、EBM(Evidence Based Medicine:科学的な根拠に基づく医療)やガイドライン等にてその必要性が示されている。これらでは、動物実験から有用と思われるとか学会等で権威のある方が推奨したというものは根拠にはならず、患者を対象としたランダム化された臨床試験において、期待した結果を証明できたものがエビデンスとして評価され蓄積されていくようである。
個人的には動物実験などの基礎科学的な知見を基に臨床推論を行いながら実践していく理学療法もサイエンスに含まれるように思うが、仮説・検証を行っていく際にはどうしても経験が重要となるためどちらかといえばアートに含まれるようだ。
アートの部分で注目されているのは、NBM(Narrative Based Medicine:語りに基づいた医療)である。これは、患者との対話を通じて、病期の背景や人間観を理解し、患者が抱えている問題に対して全人的(身体的、精神的・心理的、社会的)にアプローチしていこうとする臨床手法である。

理学療法士という職業において、“治す”という事に関しては、根拠となるデータが十分にそろっていないことが多く、特に脳卒中片麻痺患者においてはまだまだ分かっていない部分の方が多いと思う。そのため、障害とどのように向き合うか、障害とどのように付き合いながら生活をしていくかという部分も重要となり、そのためにはNBMのような患者の語りに耳を傾けながら、患者が求めていることに対して、最も可能性が高いであろうアプローチを選択していくことが重要であると思う。

サイエンスであろうが、アートであろうが、患者が求めることに対して最大限の力が発揮できるよう努めたいと思う。



 
 
書籍の紹介
脳卒中片麻痺患者に対する理学療法
 

 

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