以上、神経可塑性のメカニズムとそれに必要な治療展開についてまとめてみた。
神経可塑性のメカニズム
運動麻痺回復ステージ理論と治療カテゴリー
1st stage recovery 2nd stage recovery 3rd stage recovery
運動麻痺回復のためには、適切な期間に適切なアプローチ方法を展開し、神経系を刺激していく事が大切である。
1st stageでは感覚入力を、2nd stageでは運動イメージや学習に基づいたアプローチを、3rd stageでは患者自身の自主性を高め日常生活に汎化できるよう促すよう取り組む必要がある。
アプローチ方法は各カテゴリー内から選択していくが、同じカテゴリーのものであれば何でも良いという事ではなく、それぞれのアプローチ方法には適応と限界がある。
CI療法を例に挙げてみる。
●CI療法●
・全米にて多施設間のランダム化比較試験を実施
・リハビリ意欲のある片麻痺患者3226名が応募
・そのうち、適応基準を満たしたものは222名(厳選された対象者の中でも効果を示さない者もいた)
CI療法はエビデンスの高い治療方法として知られているが、やる気のある片麻痺患者という枠組みの中では5%程度の適応しかない。
そのため、セラピストは、適応と限界を十分理解し、患者により良いものを提供できるよう取り組む必要がある。
また、運動麻痺回復に関しては、動きはよくなるが実用性からみると、役に立つほど回復したという例を認めず、麻痺が回復することと実用的に役に立つこととの間には非常に大きな距離があるという否定的な意見もある。
しかし、私は必ずしも麻痺の回復が実用的なものと結びつかないといけないとは思わない。麻痺側へ目を向けることで動作意欲が高まったり、姿勢が良くなることで外出意欲が高まったというケースを経験することもある。
実用性に欠けるのであれば麻痺側に関わらなくてもよい。非麻痺側でADL遂行ができればそれでよい。という考え方はセラピストのエゴであるような気がする。
患者のdemandへ目を向け、潜在能力を最大限に発揮できるように関われるセラピストでありたいと思う。
書籍の紹介
脳卒中片麻痺患者に対する理学療法
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