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2016年4月18日月曜日
2016年4月17日日曜日
ボバースの文献④:現代の脳卒中患者に対するボバースコンセプトとは?(理学療法士に対する意識調査)
引き続き、ボバースに関する文献を紹介したいと思う。
今回の文献は、現代の脳卒中患者に対するボバースコンセプトがどのように変化しているかを明らかにするために行われた研究を記したものである。ボバースコンセプトは、その時代の神経科学を背景とする臨床推論に基づき、評価・介入を行っており、神経科学の発展と共にその基盤となる理論的な背景も変化している。今回はボバースの講習会に参加したことのある理学療法士を対象としたフォーカスグループインタビューを行い調査を行った。
※フォーカスグループインタビューとは、特定のテーマに焦点を当て、特定の対象を集めて行うグループインタビューであり、質的な情報把握を行うために用いられる。グループで行うことにより単独インタビューでは得られない、奥深くそして幅広い情報内容を引き出すことが可能となる。
現代の脳卒中患者に対するボバースコンセプトとは?(理学療法士に対する意識調査)
今回の研究は、理学療法士と共にボバースコンセプトの理論的な背景として認められているものは何か、また、1990年に発表された成人片麻痺に対するボバースコンセプトに基づいた評価・治療について示した書籍に記されたものからどのように変化したのかを調査することを目的とした。
方法
フォーカスグループインタビューに参加した理学療法士は、過去3年以内にボバースの基礎講習会もしくは上級者講習会に参加した8名であった。彼らの経験年数は平均9.4年(5-15年)であった。参加者は、興味を持つ領域により2つのグループに分けられた。1つは、神経科学に興味を持つグループ(グループA)で、もう1つは、高齢者に興味を持つグループ(グループB)である。グループAは、5人で構成されており、その中にはボバースのインストラクター1名とインストラクター候補生1名が含まれた。しかし、インストラクター候補生(セラピストC)はグループインタビューを行う日に参加できなかったため、事前に単独のインタビューが行われた。グループBは、3名で構成された。
ディスカッションは、いくつかのボバースコンセプトの論文に基づいて行われた。
結果
各グループで議論されたキーワードは、正常動作と筋緊張のコントロール、ファシリテーション、運動学習、ボバース概念についてであった。各ワードについて議論された内容について下記に示す。
【正常動作】
以前は、神経発達学的な評価・治療が行われていた。しかし、グループAは、現在は子供の発達ではなく、正常運動と神経の可塑性が治療の基盤となっていると主張した。神経の可塑性は、損傷後の成人の中枢神経システムの変化を指しており、この変化は、患者が環境やハンドリングなどから受け取る情報によって良いものにも悪いものにもなると述べられた。グループBは、正常動作も活動を通して促通することが重要であると主張した。セラピストCは、反射抑制パターンによる筋緊張の抑制から、姿勢のセットに変化したと主張した。また、どのグループも筋骨格系のアライメントを適正に整えることが重要であると述べた。
【筋緊張のコントロール】
筋緊張をコントロールすることは、すべてのセラピストにとって正常動作を促通するための重要なポイントであった。グループAは、活動だけでなく、正常動作に必要な構成要素の治療の必要性について主張した。グループBは、患者が動きやすくなる場合、代償の許容が必要であると述べた。すべてのセラピストは、過去に筋緊張をコントロールすることに対する偏りがあったと感じていた。現在も、筋緊張のコントロールは重要であるが、動作の促通と共に併用されている。
「筋緊張が正常化されることが、自然で自由な動きを達成するための唯一の方法であるが、異常な筋緊張をコントロールする最善の方法は、実際により正常な動作を促通することである。筋緊張をコントロールするためだけに多くの時間を費やすことはない」
【ファシリテーション】
今までは、多くの時間を筋緊張を整える時間に費やしており、なかなか活動へ移らなかった。しかし、現在では、中枢神経システムの可塑的な変化をもたらすためには活動が必要であるとすべてのセラピストが同意した。最適な運動を促通する際、適切なアライメントを整えるためにハンドリングや他のセラピストのサポート、環境調整などが必要であった。ファシリテーションを行う際には、セラピストが段階的にHands onから離脱し、患者自身にコントロールしてもらうよう促す必要があった。
ファシリテーションにおける感覚入力に関して、グループAでは、言語的な入力は、強化や不必要な活動をやめる際に固有感覚入力の補助的手段として利用されており、視覚入力も補助的な扱いであると述べられた。グループBでは、すべての感覚入力(Hans onによる入力および視覚や言語による入力)が運動の促通のために用いられることに同意したが、セラピストのHands onによる感覚入力が重要であることが主張された。
すべてのグループで、全課題とは別の姿勢で構成要素のファシリテーションを行うことに同意したが、最終的には歩行や対象物へのリーチのような全課題を通して構成要素の結合を図る必要があることに同意した。患者の目標となる活動を達成することが治療の最終目標であった。
「数年前までは、構成要素の準備が整うまでは誰も歩かさなかった。しかし、現在は、構成要素の準備が整う魔法の日まで歩行を延期することはなく、歩きながらファシリテーションを行うだろう」
【運動学習】
介入によって患者が新しい動作方法を学習していなくても、低いレベルで神経回路にアクセスしていると述べられた。ボバースコンセプトにおいて、重要な構成要素を強化するために、多くの異なった課題を経験させる機会を作ることが重要であった。運動コントロールを強化するために、神経回路に反復してアクセスすることが重要であったが、それは必ずしも同じ動作を行うことを意味していなかった。例えば、歩行に必要な構成要素は、臥位や座位、立位、プローンスタンディングなどで行われるかもしれない。多くの異なった姿勢や課題で正確な構成要素を反復することが重要であった。しかし、最終的には、目標となる課題を通して、構成要素の結合を図る必要があった。
【ボバース概念】
1990年以来ボバースコンセプトがどのように発展してきたかについて多くの時間を費やした。セラピストは、いくつかの文献に記載されている内容について議論した。それは、神経発達的な順序や運動の回復方法、近位に対する遠位のコントロール、課題と構成要素の関係性、治療のキャリーオーバー、歩行補助具と装具であった。神経発達学的な順序での回復はもはや支持されていなかった。すべてのセラピストは、近位の安定だけでなく、近位と遠位どちらとも促通が必要であることに同意した。正常動作の構成要素の促通を行うことは、現在も重要であったが、最終的には、目標となる課題を通して、構成要素の結合を図る必要があった。キャリーオーバーを成し遂げるためには、治療以外時間の動き方・生活の仕方について患者にアドバイスをしなければならないと述べられた。装具や歩行補助具の利用は、より正確な動きを得るためにそれらを利用することに同意した。また、装具や歩行補助具の利用が治療の失敗であるという見解をしてはならないという事に同意が得られた。
まとめ
本研究では、ボバースコンセプトが1990年以降どのように変化したかについて調査した。現在のボバースコンセプトでは、反射抑制パターンや神経発達学的な知見は利用されなくなっており、神経の可塑性などの神経科学的な知見が利用されている。また、筋緊張のコントロールは、現在も重要な要素であるが、動作の促通が常に併用されている。ファシリテーションには、Hands onによる徒手的な誘導に加えて、言語入力や視覚的な入力などすべての感覚入力が利用されている。以前は、活動のための準備に多くの時間を費やしていた。現在も重要な要素であるが、目的指向的な活動が各治療において常に導入されており、課題指向型アプローチはボバースコンセプトの重要な要素となっている。装具や歩行補助具の利用に関しても、より正確な動きを得るためにそれらが利用されている。
参考文献
Lennon S, Ashburn A:The Bobath concept in stroke rehabilitation: a focus group study of the experienced physiotherapists' perspective.Disabil Rehabil. 2000 Oct 15;22(15):665-74.
以上、ボバースコンセプトがどのように変化したのかを示した文献を紹介した。
本日はここまで。
続きはまた次回。。。
書籍の紹介
脳卒中片麻痺患者に対する理学療法
今回の文献は、現代の脳卒中患者に対するボバースコンセプトがどのように変化しているかを明らかにするために行われた研究を記したものである。ボバースコンセプトは、その時代の神経科学を背景とする臨床推論に基づき、評価・介入を行っており、神経科学の発展と共にその基盤となる理論的な背景も変化している。今回はボバースの講習会に参加したことのある理学療法士を対象としたフォーカスグループインタビューを行い調査を行った。
※フォーカスグループインタビューとは、特定のテーマに焦点を当て、特定の対象を集めて行うグループインタビューであり、質的な情報把握を行うために用いられる。グループで行うことにより単独インタビューでは得られない、奥深くそして幅広い情報内容を引き出すことが可能となる。
現代の脳卒中患者に対するボバースコンセプトとは?(理学療法士に対する意識調査)
今回の研究は、理学療法士と共にボバースコンセプトの理論的な背景として認められているものは何か、また、1990年に発表された成人片麻痺に対するボバースコンセプトに基づいた評価・治療について示した書籍に記されたものからどのように変化したのかを調査することを目的とした。
方法
フォーカスグループインタビューに参加した理学療法士は、過去3年以内にボバースの基礎講習会もしくは上級者講習会に参加した8名であった。彼らの経験年数は平均9.4年(5-15年)であった。参加者は、興味を持つ領域により2つのグループに分けられた。1つは、神経科学に興味を持つグループ(グループA)で、もう1つは、高齢者に興味を持つグループ(グループB)である。グループAは、5人で構成されており、その中にはボバースのインストラクター1名とインストラクター候補生1名が含まれた。しかし、インストラクター候補生(セラピストC)はグループインタビューを行う日に参加できなかったため、事前に単独のインタビューが行われた。グループBは、3名で構成された。
ディスカッションは、いくつかのボバースコンセプトの論文に基づいて行われた。
結果
各グループで議論されたキーワードは、正常動作と筋緊張のコントロール、ファシリテーション、運動学習、ボバース概念についてであった。各ワードについて議論された内容について下記に示す。
【正常動作】
以前は、神経発達学的な評価・治療が行われていた。しかし、グループAは、現在は子供の発達ではなく、正常運動と神経の可塑性が治療の基盤となっていると主張した。神経の可塑性は、損傷後の成人の中枢神経システムの変化を指しており、この変化は、患者が環境やハンドリングなどから受け取る情報によって良いものにも悪いものにもなると述べられた。グループBは、正常動作も活動を通して促通することが重要であると主張した。セラピストCは、反射抑制パターンによる筋緊張の抑制から、姿勢のセットに変化したと主張した。また、どのグループも筋骨格系のアライメントを適正に整えることが重要であると述べた。
【筋緊張のコントロール】
筋緊張をコントロールすることは、すべてのセラピストにとって正常動作を促通するための重要なポイントであった。グループAは、活動だけでなく、正常動作に必要な構成要素の治療の必要性について主張した。グループBは、患者が動きやすくなる場合、代償の許容が必要であると述べた。すべてのセラピストは、過去に筋緊張をコントロールすることに対する偏りがあったと感じていた。現在も、筋緊張のコントロールは重要であるが、動作の促通と共に併用されている。
「筋緊張が正常化されることが、自然で自由な動きを達成するための唯一の方法であるが、異常な筋緊張をコントロールする最善の方法は、実際により正常な動作を促通することである。筋緊張をコントロールするためだけに多くの時間を費やすことはない」
【ファシリテーション】
今までは、多くの時間を筋緊張を整える時間に費やしており、なかなか活動へ移らなかった。しかし、現在では、中枢神経システムの可塑的な変化をもたらすためには活動が必要であるとすべてのセラピストが同意した。最適な運動を促通する際、適切なアライメントを整えるためにハンドリングや他のセラピストのサポート、環境調整などが必要であった。ファシリテーションを行う際には、セラピストが段階的にHands onから離脱し、患者自身にコントロールしてもらうよう促す必要があった。
ファシリテーションにおける感覚入力に関して、グループAでは、言語的な入力は、強化や不必要な活動をやめる際に固有感覚入力の補助的手段として利用されており、視覚入力も補助的な扱いであると述べられた。グループBでは、すべての感覚入力(Hans onによる入力および視覚や言語による入力)が運動の促通のために用いられることに同意したが、セラピストのHands onによる感覚入力が重要であることが主張された。
すべてのグループで、全課題とは別の姿勢で構成要素のファシリテーションを行うことに同意したが、最終的には歩行や対象物へのリーチのような全課題を通して構成要素の結合を図る必要があることに同意した。患者の目標となる活動を達成することが治療の最終目標であった。
「数年前までは、構成要素の準備が整うまでは誰も歩かさなかった。しかし、現在は、構成要素の準備が整う魔法の日まで歩行を延期することはなく、歩きながらファシリテーションを行うだろう」
【運動学習】
介入によって患者が新しい動作方法を学習していなくても、低いレベルで神経回路にアクセスしていると述べられた。ボバースコンセプトにおいて、重要な構成要素を強化するために、多くの異なった課題を経験させる機会を作ることが重要であった。運動コントロールを強化するために、神経回路に反復してアクセスすることが重要であったが、それは必ずしも同じ動作を行うことを意味していなかった。例えば、歩行に必要な構成要素は、臥位や座位、立位、プローンスタンディングなどで行われるかもしれない。多くの異なった姿勢や課題で正確な構成要素を反復することが重要であった。しかし、最終的には、目標となる課題を通して、構成要素の結合を図る必要があった。
【ボバース概念】
1990年以来ボバースコンセプトがどのように発展してきたかについて多くの時間を費やした。セラピストは、いくつかの文献に記載されている内容について議論した。それは、神経発達的な順序や運動の回復方法、近位に対する遠位のコントロール、課題と構成要素の関係性、治療のキャリーオーバー、歩行補助具と装具であった。神経発達学的な順序での回復はもはや支持されていなかった。すべてのセラピストは、近位の安定だけでなく、近位と遠位どちらとも促通が必要であることに同意した。正常動作の構成要素の促通を行うことは、現在も重要であったが、最終的には、目標となる課題を通して、構成要素の結合を図る必要があった。キャリーオーバーを成し遂げるためには、治療以外時間の動き方・生活の仕方について患者にアドバイスをしなければならないと述べられた。装具や歩行補助具の利用は、より正確な動きを得るためにそれらを利用することに同意した。また、装具や歩行補助具の利用が治療の失敗であるという見解をしてはならないという事に同意が得られた。
まとめ
本研究では、ボバースコンセプトが1990年以降どのように変化したかについて調査した。現在のボバースコンセプトでは、反射抑制パターンや神経発達学的な知見は利用されなくなっており、神経の可塑性などの神経科学的な知見が利用されている。また、筋緊張のコントロールは、現在も重要な要素であるが、動作の促通が常に併用されている。ファシリテーションには、Hands onによる徒手的な誘導に加えて、言語入力や視覚的な入力などすべての感覚入力が利用されている。以前は、活動のための準備に多くの時間を費やしていた。現在も重要な要素であるが、目的指向的な活動が各治療において常に導入されており、課題指向型アプローチはボバースコンセプトの重要な要素となっている。装具や歩行補助具の利用に関しても、より正確な動きを得るためにそれらが利用されている。
参考文献
Lennon S, Ashburn A:The Bobath concept in stroke rehabilitation: a focus group study of the experienced physiotherapists' perspective.Disabil Rehabil. 2000 Oct 15;22(15):665-74.
以上、ボバースコンセプトがどのように変化したのかを示した文献を紹介した。
本日はここまで。
続きはまた次回。。。
書籍の紹介
脳卒中片麻痺患者に対する理学療法
2016年3月7日月曜日
ボバースの文献③:ボバースアプローチと整形外科的アプローチの比較
引き続き、ボバースに関する文献の紹介を行いたいと思う。
リハビリテーションの報告において、多くの研究は治療効果をADLスコアのみで示しており、能力改善に影響を与えるという報告は多くあるが、麻痺などの機能障害に関する改善を示したものは多くない。
今回紹介する文献は、ボバースコンセプトに基づく介入と整形外科的な視点に基づく介入の効果の違いを機能面と能力面から比較・検討を行ったものである。また、検証する集団を整えるため、回復ステージ別に分けて比較を行っている。
ボバースアプローチと整形外科的アプローチの比較:無作為比較試験
今回の目的は、整形外科的なアプローチと比較して、脳卒中患者におけるボバースアプローチの効果があるかどうかを調査することである。また、臨床研究の問題点として、対象となる患者集団が不均一であることが提言されているため、回復段階別に比較・検討を行うこととする。
方法
対象は、下肢のBrunnstrom recovery stage(以下BRS)がⅡ~Ⅴまでの脳卒中片麻痺患者で、コミュニケーションが可能でリハビリに意欲的なものとした。この基準を満たす44名が対象となった。BRSに応じてBRSⅡ~Ⅲを痙縮患者、Ⅳ~Ⅴを回復患者とした。痙縮患者は21名でボバースアプローチ群10名と整形外科的アプローチ群11名に無作為に割り振られた。回復患者は23名でボバースアプローチ群11名と整形外科的アプローチ群12名に無作為に割り振られた。
評価項目には、機能障害はStroke impairment assessment set(以下SIAS)の下肢運動項目と筋緊張の項目を、能力障害には、運動機能評価スケール(motor assessment scale:以下MAS)とBerg balance scale(以下BBS)、Stroke impact scale(以下SIS)を利用した。評価の測定は介入前と終了時の計2回実施した。
ボバースコンセプトに基づいた介入は、筋緊張の正常化や姿勢コントロール・正常運動バターンの再学習などバランス反応と運動の質を最適化することを目的に、徒手的な促通や言語・視覚的フィードバックを通じた介入が行われた。治療介入は、成人のボバース講習会を受講した理学療法士2名が実施した。どちらも10年以上の経験があり、少なくとも5年間はボバースコンセプトに基づく介入を行っていた。整形外科的な介入には、他動運動や自動介助運動、自動運動、抵抗運動が含まれ、患者に随意的なコントロールを要求しながら筋力増強訓練を実施した。寝返りや立ち上がり、移乗、歩行などの特異的な活動の反復に焦点を当てた介入も早期から実施し、歩行訓練は、非麻痺側で支持しながら平行棒内から開始された。治療介入は、2名の理学療法士が実施した。どちらも10年以上の経験があり、少なくとも5年間は脳卒中に対するアプローチを行っていた。
どちらの介入も1回40分を20回実施した。
結果
●痙縮患者●
基本情報に両群に差を認めなかった。治療介入後、両群共にSIASの下肢運動項目とMAS、BBSの有意な改善を認めた。さらに、ボバースアプローチ群はSIASの筋緊張とSISの有意な改善を示した。2群間の比較では、ボバースアプローチ群が、整形外科的アプローチ群と比較し、筋緊張とMAS、SISにおいて有意な改善を示した。BBSとSIASの下肢運動項目に関しては有意差を認めなかった。
●回復患者●
基本情報に両群に差を認めなかった。治療介入後、両群共にBBSとSISに有意な改善を認めた。さらに、ボバースアプローチ群はMASの有意な改善を示した。2群間の比較では、ボバースアプローチ群が、整形外科的アプローチ群と比較し、MASとBBS、SISにおいて有意な改善を示した。SIASの下肢運動項目と筋緊張の項目に関しては有意差を認めなかった。
まとめ
ボバースアプローチおよび整形外科的なアプローチどちらも患者の機能および能力改善を促進した。痙縮患者および回復患者のどちらにおいても整形外科的なアプローチよりもボバースアプローチの方が有効であった。
参考文献
Wang RY, Chen HI, Chen CY, Yang YR:Efficacy of Bobath versus orthopaedic approach on impairment and function at different motor recovery stages after stroke: a randomized controlled study.Clin Rehabil. 2005 Mar;19(2):155-64.
以上、ボバースアプローチと整形外科的なアプローチの比較を行った文献の紹介を行った。BRSによって患者の回復段階の群分けを行うことに関しては、少々違和感を感じる(StageⅡ~Ⅲが痙縮患者という事も含めて)が、回復段階に限らず、筋力増強訓練やその時点の患者の能力に応じた動作練習を中心に行うよりも、神経生理学的な知見に基づき、将来的な姿勢・運動学習を見据えた介入を行う方が脳卒中患者の機能・能力の改善のためには有効であることが示された文献であると思う。
興味のある方はこちらもどうぞ
今回紹介した論文のletter to the editor
本日はここまで。
続きはまた次回。。。
書籍の紹介
脳卒中片麻痺患者に対する理学療法
リハビリテーションの報告において、多くの研究は治療効果をADLスコアのみで示しており、能力改善に影響を与えるという報告は多くあるが、麻痺などの機能障害に関する改善を示したものは多くない。
今回紹介する文献は、ボバースコンセプトに基づく介入と整形外科的な視点に基づく介入の効果の違いを機能面と能力面から比較・検討を行ったものである。また、検証する集団を整えるため、回復ステージ別に分けて比較を行っている。
ボバースアプローチと整形外科的アプローチの比較:無作為比較試験
今回の目的は、整形外科的なアプローチと比較して、脳卒中患者におけるボバースアプローチの効果があるかどうかを調査することである。また、臨床研究の問題点として、対象となる患者集団が不均一であることが提言されているため、回復段階別に比較・検討を行うこととする。
方法
対象は、下肢のBrunnstrom recovery stage(以下BRS)がⅡ~Ⅴまでの脳卒中片麻痺患者で、コミュニケーションが可能でリハビリに意欲的なものとした。この基準を満たす44名が対象となった。BRSに応じてBRSⅡ~Ⅲを痙縮患者、Ⅳ~Ⅴを回復患者とした。痙縮患者は21名でボバースアプローチ群10名と整形外科的アプローチ群11名に無作為に割り振られた。回復患者は23名でボバースアプローチ群11名と整形外科的アプローチ群12名に無作為に割り振られた。
評価項目には、機能障害はStroke impairment assessment set(以下SIAS)の下肢運動項目と筋緊張の項目を、能力障害には、運動機能評価スケール(motor assessment scale:以下MAS)とBerg balance scale(以下BBS)、Stroke impact scale(以下SIS)を利用した。評価の測定は介入前と終了時の計2回実施した。
ボバースコンセプトに基づいた介入は、筋緊張の正常化や姿勢コントロール・正常運動バターンの再学習などバランス反応と運動の質を最適化することを目的に、徒手的な促通や言語・視覚的フィードバックを通じた介入が行われた。治療介入は、成人のボバース講習会を受講した理学療法士2名が実施した。どちらも10年以上の経験があり、少なくとも5年間はボバースコンセプトに基づく介入を行っていた。整形外科的な介入には、他動運動や自動介助運動、自動運動、抵抗運動が含まれ、患者に随意的なコントロールを要求しながら筋力増強訓練を実施した。寝返りや立ち上がり、移乗、歩行などの特異的な活動の反復に焦点を当てた介入も早期から実施し、歩行訓練は、非麻痺側で支持しながら平行棒内から開始された。治療介入は、2名の理学療法士が実施した。どちらも10年以上の経験があり、少なくとも5年間は脳卒中に対するアプローチを行っていた。
どちらの介入も1回40分を20回実施した。
結果
●痙縮患者●
基本情報に両群に差を認めなかった。治療介入後、両群共にSIASの下肢運動項目とMAS、BBSの有意な改善を認めた。さらに、ボバースアプローチ群はSIASの筋緊張とSISの有意な改善を示した。2群間の比較では、ボバースアプローチ群が、整形外科的アプローチ群と比較し、筋緊張とMAS、SISにおいて有意な改善を示した。BBSとSIASの下肢運動項目に関しては有意差を認めなかった。
●回復患者●
基本情報に両群に差を認めなかった。治療介入後、両群共にBBSとSISに有意な改善を認めた。さらに、ボバースアプローチ群はMASの有意な改善を示した。2群間の比較では、ボバースアプローチ群が、整形外科的アプローチ群と比較し、MASとBBS、SISにおいて有意な改善を示した。SIASの下肢運動項目と筋緊張の項目に関しては有意差を認めなかった。
まとめ
ボバースアプローチおよび整形外科的なアプローチどちらも患者の機能および能力改善を促進した。痙縮患者および回復患者のどちらにおいても整形外科的なアプローチよりもボバースアプローチの方が有効であった。
参考文献
Wang RY, Chen HI, Chen CY, Yang YR:Efficacy of Bobath versus orthopaedic approach on impairment and function at different motor recovery stages after stroke: a randomized controlled study.Clin Rehabil. 2005 Mar;19(2):155-64.
以上、ボバースアプローチと整形外科的なアプローチの比較を行った文献の紹介を行った。BRSによって患者の回復段階の群分けを行うことに関しては、少々違和感を感じる(StageⅡ~Ⅲが痙縮患者という事も含めて)が、回復段階に限らず、筋力増強訓練やその時点の患者の能力に応じた動作練習を中心に行うよりも、神経生理学的な知見に基づき、将来的な姿勢・運動学習を見据えた介入を行う方が脳卒中患者の機能・能力の改善のためには有効であることが示された文献であると思う。
興味のある方はこちらもどうぞ
今回紹介した論文のletter to the editor
本日はここまで。
続きはまた次回。。。
書籍の紹介
脳卒中片麻痺患者に対する理学療法
2016年2月21日日曜日
CPGについて考える(運動学・神経学的な考察)
以前、ボバースコンセプト(Locomotion)のブログ中で中枢パターン発生器(Central pattern generator:CPG)についてのコメントを掲載した。今回は、もう少し詳しく掘り下げてみたいと思う。
歩行を遂行するためには、①下肢の支持性②ステップ動作③バランス能力が必要である。 歩行におけるCPGは、①下肢の支持性と②ステップ動作の要素からなり、下肢の支持性とステップ動作の切り替えを中枢からの指令なしでも行えるように調整するものである。
CPGはなぜ必要か?
歩行を遂行するためには、①下肢の支持性②ステップ動作③バランス能力が必要である。 歩行におけるCPGは、①下肢の支持性と②ステップ動作の要素からなり、下肢の支持性とステップ動作の切り替えを中枢からの指令なしでも行えるように調整するものである。
CPGはなぜ必要か?
歩行には上記図のようにさまざまな筋がそれぞれ必要なタイミングで活動しており、これらすべてを中枢による指令でコントロールすることは困難であり、効率的ではない。
CPGのように脊髄レベルでの自律的な運動では、大脳皮質が関与することなく運動を遂行することが可能となる。つまり、CPGの機能的な役割は、高位中枢の負担を軽減し、ほかの情報処理(周囲に注意を払う・話しながら歩くなど)に大脳皮質を利用できるようにすることである。
例えば、高齢者を対象とした実験では、話しながら歩くという2重課題が遂行困難な群と遂行可能な群を比較したところ、遂行困難な群では話していない歩行中でも前頭葉の過活動を認め、歩行中の大脳皮質の関与が多かったという報告がある(2重課題が遂行困難な群は転倒率も高かった)。歩行は移動手段であって目的動作でないため、目的動作を遂行するためにCPGは重要な役割を担っている。
CPGのモデル
CPGは上記のようなモデルで説明されることが多く、CPGの発現には①ゴルジ腱器官からの荷重情報と②関節運動に伴う筋紡錘からの情報が必要である。さらに、立脚から遊脚に切り替える際には股関節屈筋および足関節底屈筋への伸長刺激が重要となる。
ここでゴルジ腱器官への感覚入力に対する反応についておさらいをする。感覚システムのブログでも記載したが、ゴルジ腱器官への感覚刺激は、立脚時と遊脚時では示す反応が異なる。立脚期では刺激に対して同名筋を促通し、遊脚期では同名筋を抑制する反応を示す。
立脚期から遊脚期への切り替え
立脚期から遊脚期への切り替えには股関節屈筋および足関節底屈筋への伸長刺激が重要であることを述べた。それでは、股関節屈筋および足関節底屈筋への伸長刺激がどのように関与しているのであろうか?
ヒトが歩行中に足が地面に接地する立脚期前半に身体重心は減速し、後半に加速する。この加速期には股関節屈曲および足関節底屈トルクが強く作用する。この遊脚に必要なトルクの産生には、腱の弾性要素が強く関与しているとされている。
ヒトの遊脚動作に関する研究
我々が行う動作は、その個体にとって最もエネルギー効率の良い方法を選択している。歩行に関しては、名古屋工科大学の佐野明人教授が示したものが有名であるが、動力を持っていない歩行ロボットによる「受動歩行」においてもヒトの正常歩行と同様の歩行様式をとっている。そのため、正常歩行は最も効率の良い方法といえる。
また、遊脚動作に関する研究では、最適化計算によって求めた消費エネルギー最小軌道と正常歩行の遊脚軌道を比較したものがある。この研究では、最適化計算を①腱の弾性要素を考慮しない軌道②腓腹筋の腱の弾性要素を考慮した軌道③腸腰筋の腱の弾性要素を考慮した軌道の3つの条件で行い、最適性を検討している。その結果、弾性要素を考慮しない場合、足を十分に持ち上がることは困難であったと報告している。また、弾性要素を考慮すると足の持ち上がりは大きくなるが、正常歩行の遊脚軌道と最も類似していたのは腸腰筋の腱の弾性要素を考慮した軌道であったとしており、腱の作用による足の持ち上がりにより躓きを防いでいる可能性があると報告している。
(末永博康 他:腱の弾性要素を考慮した消費エネルギー最小規範に基づくヒトの遊脚運動の考察.電子通信学会 2009)
さらに、腓腹筋の腱に関して、立脚相後半まで腓腹筋の筋線維は等尺性収縮に近い活動をしながら、腱組織を伸長し、腱組織の弾性エネルギー貯蓄を行っているとしており、立脚相の最後に伸びたバネが縮むように腱を短縮させ、大きなパワーを産生し、蹴り出しを行っているという報告もある。
つまり、立脚期から遊脚期への切り替えの際は、腱を伸長することが重要であり、そのためには、立脚終期に股関節が伸展・足関節が背屈方向に誘導される必要がある。これは、上記で述べたCPGに必要な要素と一致する。
しかし、これだけでは歩行動作は完成しない。
歩行動作を完成させるためにはToe clearanceを確保するための足関節背屈と遊脚期から立脚期への切り替えるための遊脚終期の遊脚肢の減速が必要である。
遊脚肢のコントロール
遊脚肢のコントロールには関節運動に伴う筋紡錘からの情報が必要である。しかし、足関節背屈に必要な前脛骨筋や遊脚終期の減速に必要な大殿筋は、立脚期中、相反抑制にて筋活動が抑制されているため、伸長刺激に対して即座に対応できる状態ではないことが考えられる。
伸長刺激に即座に対応するために、レンショウ細胞による反回抑制が作用していると考えられる。レンショウ細胞は主動作筋の活動が高まると活性化され、主動作筋を抑制するとともにⅠa介在ニューロンにも作用し、拮抗筋への抑制(相反抑制)を抑制させる(脱抑制)。この作用により、前脛骨筋や大殿筋は活性化され、伸長刺激に即座に対応することが可能となると考えられる。
以上、CPGのメカニズムについての考察を行った。CPGの発現には①強い支持性②腱の伸長③反回抑制が必要と思われる。遊脚が腱の弾性作用によって発現しているとするならば、強い支持性を獲得し、股関節伸展・足関節背屈位へのコントロールができれば、ステップ動作は行えると思われる。
効率的な歩行の獲得には、強く・安定した立脚肢の獲得が必要と思われる。
書籍の紹介
脳卒中片麻痺患者に対する理学療法
2016年2月5日金曜日
ボバースの文献②:片麻痺患者の歩行に対する治療の即時効果について
前回に引き続き、ボバースに関する論文を紹介したいと思う。
今回紹介する論文は、ハンドリングによる歩行誘導の即時効果について示したものである。
片麻痺患者の歩行に対する治療の即時効果について(杖歩行および杖なし歩行との比較)
ボバースセラピスト(以下NDT)は歩行能力再建に向けて、左右対称的な歩行や筋緊張の調整を図りながら、効率的な歩行パターンの再獲得を目的に介入を行っている。この研究は、歩行ハンドリングにおける治療効果について明らかにすることを目的としている。
対象と方法
対象は、発症平均2.2ヶ月(1.3ヶ月~3.8ヶ月)の慢性期脳卒中片麻痺患者22名である。すべての対象は自力歩行が可能であるが、下肢伸展方向への姿勢筋緊張の高まりや、遊脚時に骨盤を持ち上げるなどの特徴を認めた。
測定は、3つの条件をランダムに行った。条件は①杖なしでの歩行②杖歩行③セラピストによるハンドリングでの歩行である。ハンドリングを行うセラピストは、NDTであり、脳卒中片麻痺の治療に数年関わっている者であった。歩行ハンドリングでは、患者がより効率的に歩けるように、骨盤より誘導を行いながら以下の点を意識しながら実施した。
・麻痺側立脚期においては①麻痺側への重心移動②麻痺側股関節の伸展③麻痺側膝関節の過伸展の予防を、麻痺側遊脚期においては、体幹を抗重力伸展位に保つこと意識した。
測定項目は、歩行速度とストライド長、ケイデンス、立脚時間、左右対称性、股関節屈伸角度、歩行中の下肢筋電図(前脛骨筋・下腿三頭筋・大腿二頭筋・外側広筋・中殿筋)とした。
また、治療後の長期的な効果を検出するために、5名を対象に治療1時間後の杖なし歩行の評価を行った。
結果
杖なし歩行と杖歩行の比較では、すべての項目において有意な差を認めなかった。セラピストによるハンドリング中の歩行は、歩行速度の改善とストライド長の延長、麻痺側の単脚支持期の延長、非麻痺側の立脚期の減少、左右対称性の改善、股関節伸展角度の増大、荷重時の下腿三頭筋・外側広筋・大腿二頭筋・中殿筋の筋活動向上を認めた。
治療介入1時間後の評価では、すべての項目において有意な差を認めなかった。
まとめ
セラピストによるハンドリングでの歩行の間、立脚期の様々な筋活動の向上と共に、バランスのとれた歩行パターンが確認できた。麻痺側下肢の立脚時間延長と股関節伸展角度の増大、左右対称性の改善、歩行速度の向上に対して、治療介入の即時的な効果があることが示された。
参考文献
Hesse S, Jahnke MT, Schaffrin A, Lucke D, Reiter F, Konrad M:Immediate effects of therapeutic facilitation on the gait of hemiparetic patients as compared with walking with and without a cane. Electroencephalogr Clin Neurophysiol. 1998 Dec;109(6):515-22.
以上、ハンドリングによる歩行誘導の即時効果についての論文を紹介した。
今回紹介した文献は古い文献ではあるが、ハンドリングによる歩容の変化を示したものであった。
歩行を遂行するためには、下肢の支持性とステップ動作、バランス能力が必要である。介助下での歩行は、バランスの自主学習が困難であると言う理由で、否定的にとらえられるとこもある。
一方、近年、下肢の支持性やバランスの側面を排除した免荷式のトレッドミルやロボットを利用したアプローチが報告されている。これらは、ステップ動作を練習することにより、CPGの賦活やタイミングのよい選択的な筋活動を学習することを目的としており、効果も示されている。
ハンドリングでの歩行練習は、ステップ動作の練習として利用でき、CPGの賦活やタイミングのよい選択的な筋活動の学習を促す事ができる可能性があると考える。
本日はここまで。
続きはまた次回。。。
書籍の紹介
脳卒中片麻痺患者に対する理学療法
今回紹介する論文は、ハンドリングによる歩行誘導の即時効果について示したものである。
片麻痺患者の歩行に対する治療の即時効果について(杖歩行および杖なし歩行との比較)
ボバースセラピスト(以下NDT)は歩行能力再建に向けて、左右対称的な歩行や筋緊張の調整を図りながら、効率的な歩行パターンの再獲得を目的に介入を行っている。この研究は、歩行ハンドリングにおける治療効果について明らかにすることを目的としている。
対象と方法
対象は、発症平均2.2ヶ月(1.3ヶ月~3.8ヶ月)の慢性期脳卒中片麻痺患者22名である。すべての対象は自力歩行が可能であるが、下肢伸展方向への姿勢筋緊張の高まりや、遊脚時に骨盤を持ち上げるなどの特徴を認めた。
測定は、3つの条件をランダムに行った。条件は①杖なしでの歩行②杖歩行③セラピストによるハンドリングでの歩行である。ハンドリングを行うセラピストは、NDTであり、脳卒中片麻痺の治療に数年関わっている者であった。歩行ハンドリングでは、患者がより効率的に歩けるように、骨盤より誘導を行いながら以下の点を意識しながら実施した。
・麻痺側立脚期においては①麻痺側への重心移動②麻痺側股関節の伸展③麻痺側膝関節の過伸展の予防を、麻痺側遊脚期においては、体幹を抗重力伸展位に保つこと意識した。
測定項目は、歩行速度とストライド長、ケイデンス、立脚時間、左右対称性、股関節屈伸角度、歩行中の下肢筋電図(前脛骨筋・下腿三頭筋・大腿二頭筋・外側広筋・中殿筋)とした。
また、治療後の長期的な効果を検出するために、5名を対象に治療1時間後の杖なし歩行の評価を行った。
結果
杖なし歩行と杖歩行の比較では、すべての項目において有意な差を認めなかった。セラピストによるハンドリング中の歩行は、歩行速度の改善とストライド長の延長、麻痺側の単脚支持期の延長、非麻痺側の立脚期の減少、左右対称性の改善、股関節伸展角度の増大、荷重時の下腿三頭筋・外側広筋・大腿二頭筋・中殿筋の筋活動向上を認めた。
治療介入1時間後の評価では、すべての項目において有意な差を認めなかった。
まとめ
セラピストによるハンドリングでの歩行の間、立脚期の様々な筋活動の向上と共に、バランスのとれた歩行パターンが確認できた。麻痺側下肢の立脚時間延長と股関節伸展角度の増大、左右対称性の改善、歩行速度の向上に対して、治療介入の即時的な効果があることが示された。
参考文献
Hesse S, Jahnke MT, Schaffrin A, Lucke D, Reiter F, Konrad M:Immediate effects of therapeutic facilitation on the gait of hemiparetic patients as compared with walking with and without a cane. Electroencephalogr Clin Neurophysiol. 1998 Dec;109(6):515-22.
以上、ハンドリングによる歩行誘導の即時効果についての論文を紹介した。
今回紹介した文献は古い文献ではあるが、ハンドリングによる歩容の変化を示したものであった。
歩行を遂行するためには、下肢の支持性とステップ動作、バランス能力が必要である。介助下での歩行は、バランスの自主学習が困難であると言う理由で、否定的にとらえられるとこもある。
一方、近年、下肢の支持性やバランスの側面を排除した免荷式のトレッドミルやロボットを利用したアプローチが報告されている。これらは、ステップ動作を練習することにより、CPGの賦活やタイミングのよい選択的な筋活動を学習することを目的としており、効果も示されている。
ハンドリングでの歩行練習は、ステップ動作の練習として利用でき、CPGの賦活やタイミングのよい選択的な筋活動の学習を促す事ができる可能性があると考える。
本日はここまで。
続きはまた次回。。。
書籍の紹介
脳卒中片麻痺患者に対する理学療法
2016年1月11日月曜日
ボバースの文献①:ボバースコンセプトに基づく介入は、課題訓練単独で行う介入と比較し脳卒中患者の歩行能力改善に影響を与えるか?
本日は、ボバースコンセプトに関する文献を紹介したいと思う。
ボバースコンセプトに関しては、日本では否定的に論じられることが多く、治療効果に関するエビデンスはないという事が一般的のように思う。
しかし、海外の論文を見ると結果は様々で、良い効果を示しているものやそうでないものもある(だからエビデンスがないという事になっていると思うが・・・)。
今回、最近読んだボバースコンセプトの文献の1つを紹介する。
以上、ボバースコンセプトに基づく介入と課題訓練単独で行う介入を比較した論文を紹介した。
ボバースコンセプトに基づく介入は、見守り~軽介助で歩行が可能な脳卒中患者に対して、歩行能力の改善に有効な介入方法であることが示された論文であると思う。
本日はここまで。
続きはまた次回。。。
書籍の紹介
脳卒中片麻痺患者に対する理学療法
ボバースコンセプトに関しては、日本では否定的に論じられることが多く、治療効果に関するエビデンスはないという事が一般的のように思う。
しかし、海外の論文を見ると結果は様々で、良い効果を示しているものやそうでないものもある(だからエビデンスがないという事になっていると思うが・・・)。
今回、最近読んだボバースコンセプトの文献の1つを紹介する。
脳卒中のリハビリテーションにおいては、反復した課題訓練が推奨されている。現在のボバースコンセプトは、課題に直結した動きと基本となる姿勢コントロールの両方の改善に対して直接的に治療する神経リハビリテーションアプローチであるとされている。そのため、ボバースコンセプトにおいても課題訓練は治療の主要な構成要素である。
今回紹介する文献では、ボバースコンセプトに基づく介入が、課題訓練単独で行う介入と比較し効果があるかどうかを示したものである。
ボバースコンセプトに基づく介入は、課題訓練単独で行う介入と比較し脳卒中患者の歩行能力改善に影響を与えるか?
この研究の動作課題は「歩行」である。歩行の改善は、室内環境を歩けるようになるだけでなく、屋外などの様々な環境下で歩けるようになることも必要である。
この研究の目的は、屋内歩行レベルから屋外歩行レベルへ移行するための最適なアプローチを決定することであり、ボバースコンセプトに基づく介入が、課題訓練単独で行う介入よりも効果があるかどうかを検証することである。
方法
この研究は、盲検化した評価を行う前向きな多施設間の無作為比較試験である。この研究の対象は、発症4~29週までの脳卒中(脳出血と脳梗塞)患者で、監視または介助下にて15m屋内歩行が可能なものとした。発症4週以内に歩行が自立した軽症患者や発症前に屋外歩行が困難であったもの、指示理解が困難なもの、脳卒中以外の運動器疾患を有するものは除外した。なお、これらの対象者は、2つのリハビリテーション施設から集められ、コンピューターによってランダム割付けが行われた。その結果、ボバースコンセプトに基づく介入を行う群12名と課題訓練単独で介入を行う群14名に割り振られた。介入した理学療法士は、経験年数が5年以上もしくは神経科学およびリハビリテーションの大学院を2年以上経験したものであった。加えて、ボバースコンセプトに基づく介入はボバース基礎講習会と2つ以上の上級者講習会を終了したものが行った。
ボバースコンセプトに基づく介入は、歩行改善に向けたクリニカルリーズニングを行い、問題となる構成要素に対する治療を患者個人に合わせて実施した。
介入例は以下の通りである。
・背臥位、立位、片脚立位などの様々な姿勢のコントロールと選択的な運動の促通
・足部・下腿の活性化を図り、足関節戦略の促通を図ることを通して、足部と床との関係の改善を図り、バランスを強化すること
・課題中のコアスタビリティーを促通すること
・様々な姿勢の変化を通して、ローテーションを促通し、正中位指向の改善を図ること
これらの介入と合わせて、坂道歩行や段差昇降、不整地歩行などを含んだ応用歩行に関わる課題訓練を実施した。
課題訓練のみを行う群は、応用歩行訓練を課題特異的に反復して実施した。介入の際に、言語指示やジェスチャーなどによるフィードバックを行ったが、Hands onによる動作誘導は行わなかった。
測定項目は、傾斜や段差、不整地を想定したマットなどを設置した環境下での6分間歩行距離と平地の歩行速度、Berg Balance Scale(以下BBS)とした。評価測定は、対象者がどちらの群に属しているかを知らない理学療法士により実施され、介入前と全介入が終了した2週間後に行われた。
結果
介入前の6分間歩行距離と歩行速度、BBSにおいて両群間に差を認めなかった。介入終了後、すべての項目において両群共に有意な改善を示した。ボバースコンセプトに基づく介入と課題訓練単独の介入の比較では、歩行速度においてボバースコンセプトに基づく介入を行った群が、課題訓練単独で介入した群と比較して有意な改善を示した(ボバース:26.2±17.2m/min 対 課題訓練単独:9.9±12.9m/min P<0.01)。6分間歩行距離に関しては有意差を認めなかったが、ボバースコンセプトに基づく介入を行った群が課題訓練単独で介入を行った群と比較し改善傾向を示した(ボバース:89.9±73.1m 対 課題訓練単独:41.0±17.2m P=0.07)。BBSは両群に有意差を認めなかった(P=0.2)
まとめ
歩行が監視~介助レベルの脳卒中患者において、ボバースコンセプトに基づく介入は課題訓練単独で行う介入と比較し、歩行速度の改善に対して有効であることが示された。また、応用歩行距離は、有意差を認めていないものの改善傾向を示した。統計的な有意差を示すためには64人以上の対象が必要であり、屋内歩行レベルから屋外歩行レベルへ移行するための最適なアプローチを決定するという目的を達成するためには、症例数を増やし大規模な臨床試験を行う必要がある。
参考文献
Brock K, Haase G, Rothacher G, Cotton S:Does physiotherapy based on the Bobath concept, in conjunction with a task practice, achieve greater improvement in walking ability in people with stroke compared to physiotherapy focused on structured task practice alone?: a pilot randomized controlled trial.Clin Rehabil. 2011 Oct;25(10):903-12.
参考文献
Brock K, Haase G, Rothacher G, Cotton S:Does physiotherapy based on the Bobath concept, in conjunction with a task practice, achieve greater improvement in walking ability in people with stroke compared to physiotherapy focused on structured task practice alone?: a pilot randomized controlled trial.Clin Rehabil. 2011 Oct;25(10):903-12.
以上、ボバースコンセプトに基づく介入と課題訓練単独で行う介入を比較した論文を紹介した。
ボバースコンセプトに基づく介入は、見守り~軽介助で歩行が可能な脳卒中患者に対して、歩行能力の改善に有効な介入方法であることが示された論文であると思う。
本日はここまで。
続きはまた次回。。。
書籍の紹介
脳卒中片麻痺患者に対する理学療法
2016年1月3日日曜日
明けましておめでとうございます。
明けましておめでとうございます。
昨年末はブログの更新がなかなかできませんでしたが、少しずつ再開していきたいと思います。
私は、本日より仕事始めとなりますので、心機一転頑張っていきたいと思います。
昨年はボバースの学会で発表したり、論文の執筆を行ったり、このブログを始めたり・・・私としては変化のある刺激的な一年でした。
昨年末、「ビジネスマンは35歳で一度死ぬ」という本を読んでいた(リハビリとは全く関係ないが・・・)。この本は、どんな環境・状況でも活躍できるようになるために、35歳までに様々な能力を身につけた方が良いという内容で、今の状態に甘んじることなく、「新しい価値を生み出す精神」や「新しい道を切り開く精神」が大切であるという事であった。
今私が行っている(勉強している)リハビリに甘んじることなく、これからも新しい知識を吸収していきたいと思う。
今年は、論文執筆の際に読んだ論文や最近読み始めたボバースの論文などを少しずつ紹介していきたいと思ます。
今年もよろしくお願い致します。
昨年末はブログの更新がなかなかできませんでしたが、少しずつ再開していきたいと思います。
私は、本日より仕事始めとなりますので、心機一転頑張っていきたいと思います。
昨年はボバースの学会で発表したり、論文の執筆を行ったり、このブログを始めたり・・・私としては変化のある刺激的な一年でした。
昨年末、「ビジネスマンは35歳で一度死ぬ」という本を読んでいた(リハビリとは全く関係ないが・・・)。この本は、どんな環境・状況でも活躍できるようになるために、35歳までに様々な能力を身につけた方が良いという内容で、今の状態に甘んじることなく、「新しい価値を生み出す精神」や「新しい道を切り開く精神」が大切であるという事であった。
今私が行っている(勉強している)リハビリに甘んじることなく、これからも新しい知識を吸収していきたいと思う。
今年は、論文執筆の際に読んだ論文や最近読み始めたボバースの論文などを少しずつ紹介していきたいと思ます。
今年もよろしくお願い致します。

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